-寺嶋よりメッセージ-

大人のための50箇条 - 7年一昔 -

平成16年11月15日
第2版

 テラゴロク「大人のための50箇条」を作って7年が経過しました。いろいろな方から励ましのお言葉を頂きました。 大学に勤務して初めて体調を崩し、2日間自宅で寝ていた時、ふと思いついたのがテラゴロクです。 「何をえらそうに」,「何を生意気に」と言われるのではないかと思い恥ずかしい気もしましたが、当時ホームぺージにのせました。 自分がこのように生きているわけではありませんが、研究室の学生が卒業して、社会へ出て、時折、研究室のホームページを見、 このサイトに入ってきてくれた時、卒業生と私との「架け橋」になってくれればと、継続して掲載しております。 矛盾するかもしれませんが、若い人は、ゴロクなどに振りまわされず、伸び伸び生きてください。規律にしばられず、 夢中に生きることがなにより大切です。しかし、暇な時、また、悲しい時、このゴロクをのぞいて、励みにでもなればうれしく思います。 何かお気付きの点があれば、お便り下さい。

豊橋にて

テラゴロク

平成9年11月
第1版

 平成9年秋、はじめて体の調子を崩し、人生あといくばくかと思ったのか、少々寝床でしんみりしたことを考えました。 それと、研究室の学生さんが最近増えてきたこともあり、前途洋々な若者に、言いたいことを文書にまとめてみました。 時間があれば、お読み下さい。ただし、以下のことは、私が自分で経験したことばかりでなく、本で読んだり、人から聞いたり、 教えてもらったことも多いので、そのへんはご了承下さい。 何人かの学生の薦めもあり、恥ずかしながらテラゴロク(寺嶋語録)として公開することにしました


変態しよう(メタモルフォース;metamorphose)
 変態行為を進めるものではありません.蝶が,たまご→幼虫→さなぎ→成虫となるように,いままでの殻を破って,1ランク上に大きく成長することです.20~30歳代は,人生観,社会観,学問観,技術観,恋愛観がほぼ完成します.ですから,最も大切な時期ともいえます.中途半端な考えで10年間流された生き方をしないで下さい.20代は学生でいえば,大学4年,修士1,2年,博士課程に相当し,社会人でいえば社会の荒波に突入し,もまれている頃です.人生の基礎ができるわけで,充実した日々を過ごしてください.肉体的にも精神的にも健全な大人へと成長していくのがこの時期です.人間は一生をかけて,自己実現していくものと思いますが,この時期,いろいろな面で日々研鑽を積んでください.  以上の話は,抽象的なので,「大人のための50箇条」として,もう少し具体的な事例をあげて以下に説明しておきます.


<大人のための50箇条>
  1. PolicyやPhilosophyを,いろいろなことに対して持て.日和見主義ではダメ.
  2. 専門をもち,それを磨け.大事に大事に育てよ.「継続は力なり」.
  3. 専門以外にも,興味を広げ,基礎学問,教養を身につけよ.人生一生勉強.何も今だけが勉強ではない.その土壌作りの好時期が現在である.遊びも含めて,大きく広く学べ.年をとってからでもできることは,一杯あるが,若い時でなくてはならぬこともある.「少年老いやすく,学なりがたし.」後悔のないよう,やりたいことをどんどんやれ.その優先順位は,自分の価値観に基づき,自分で決めよ
  4. 目標を立てたら,とことんつきつめよ.その時は,多少の禁欲や犠牲も必要.人と同じ事をしていたら,それだけのものしか得られない.夢中な時,人間は大きくなる.
  5. コンスタントな生活に心がけよ.ムラのある生活は,長い目で自己を消耗し,体に良くない.
  6. 人のせいにするな.自分の行動に対する結果は,事情はどうあれ,自分の責任である.
  7. 新聞,ニュースをまめにみよ.そして,話題の提供できる人間になれ.
  8. 人との約束・時間は守れ.
  9. 連絡,足を運ぶことをいやがるな.
  10. 自分の話す言葉は,よく考えてしゃべれ.また行動もよく考えてせよ.他人は言葉,態度を通して,その人を知る.
  11. 他人の口はこわい.後で困るような話はつつしめ.言い訳するなら,はじめからするな.しかし,時として,他人の悪口はストレス解消になり,明日の糧になることもある.時,場所,話し相手,タイミングを考えて,するなら心してせよ.ただし,悪口ばっかり言っている奴は,言っただけ,他人から自分のことも言われていると思え.
  12. あいさつ,お礼の言葉は,はきはき笑顔で述べよ.事項(8)~(12)ができれば社会人としては一人前.そんなに難しいことではない.しかしできない人が多い.
  13. 自己の専門のこと,また得意なことは,こだわりを持ち,堂々と意見を述べよ.時には激しい議論となってよい.但し,誤っていたときは,あとで,訂正,謝る謙虚さをもて.
  14. 日常の会話では,100%自信のない限り,あまり強く,しつこく言い張るな.疑問のあるときは,相手の言葉に耳を傾け,調べ,そして結論を出せ.このようなことで,意地を張るのは見苦しく,そして人格をおとすことになりかねない.どうでもいいことは.ケセラセラ(なるようになる)でいけ.負けるが勝ちも時にはあり.あまり,かりかりしていると病気になる.
  15. 雑用もいやがらず,積極的にせよ.上司や部下は評価している.ただし,何でも,Yesマンになるな.Noと言える勇気を持て.
  16. 上から信頼され,下から慕われる人間になれ.それには,裏,表の差の激しい人間になるな.堂々とした人生を送れ.
  17. 自己の限界を知れ.困難に出くわしたとき,誰に聞けばよいか,何を調べればよいかなど,普段から情報網を作っておくべし.このことを知ると知らぬでは雲泥の差がでる.自分の殻だけに閉じこもっていては,進歩はない.ヒントを得る方法を知っているのも実力の内.
  18. 厳しく忠告,叱ってくれる人の言葉を大切にせよ.そういう人ほど愛情深い人であることを知れ.
  19. 常に,立派な人,優秀な人,尊敬のできる人を見つけ交流し,自己を磨け.お山の大将ではダメ.自分の周りの環境,人が悪いと言って嘆いているばかりいる人間はダメ.君がつまらない人間だから,そんな友人しかいないのだ.どこへ行っても,自己にとっていやな人間はいる.むしろ,それをバネにしろ.いい人はきっといるはずだ.まわりをよく見てみろ.また,そういう良い環境を自らが作り出す,企画力,実行力が必要.
  20. 新しいことや,苦手意識のあることに対して,食わず嫌いになるな.零と一では大きな差がある.とにかく挑戦してみよう.
  21. 自分の個性にあったライフスタイルを作れ.いろいろなものを参考にして君のオリジナルなものを作り出していけ.まねではない,君のスタイルを.人と違うことをすることを決して恥じるな.信念と勇気を持て.
  22. 夢をもって生きろ.
  23. 心の楽しみ,なぐさめになる趣味や手段を持て.人生おもしろ・おかしく生きよ.
  24. とことん困ったとき,どん底になったときは,裸になり,一からやり直せ.窮極的には健康であれば,道は開ける.生きていることに感謝せよ.見栄を捨てろ.ピンチではあせらずに原点に帰ることだ.とにかくマイナスをなくせ.そういうときこそ,図太く生きる居直りも必要.
  25. 悩むことをいやがるな.みんな悩んで大きくなった.悩むことは楽しいんだ位に思え.
  26. コンスタントに専門外の教養書を読め.書を読むことは,すなわち自分との対話をすることである.
  27. 自己を客観的にみることのできる能力を身につけよ.また,他人を正当に評価できる能力を養え.
  28. 自分のことだけでなく,人のために貢献できる人間になれ.人の心の痛みがわかる人間になれ.特に,人に依頼したいときは,相手の心をつかんで,しかもタイミングを考えて話せ.
  29. 時には,天下,国家を論ぜよ.極度なマイホーム主義人間になるな.
  30. 親をはじめ,周囲の人への感謝の気持ちを忘れるな.そして,家族,仲間を大切にせよ.「おごる平氏は久しからずや」
  31. 判断に困ったり,迷う時は,「自然な流れ」にしたがって選択をせよ.決して不自然なものを選ぶな.
  32. これが人生のチャンス,勝負だと思ったときは,全力でそれにぶつかれ.人生に幾度か,そのようなときは訪れる.チャンスに強くなれ.そのためには,日頃から集中力を身につけよ.
  33. 人に感謝の意を表することや,祝い事をするときは,相手に好感を持たれるよう意を尽くして行え.そのような気のない時は,何も余計なことをするな.中途半端な行動は,かえって相手に悪影響を与え,品格を落とす.
  34. 自分を見るように他人には寛大に.そして,他人を見るように自分には厳しく.それを原則とすべし.
  35. 長期的な人生計画と,短期的な人生計画を持て.目先が効いて几帳面を旨とすべし.
  36. 今日一日の予定は,その日の朝までに決めておけ.そして寝る前に,その日を反省せよ.システム論的に言えば,朝の計画がフィードフォワード制御,夜の反省がフィードバック制御である.一日二回これを行え.
  37. 決断するときは,本当にこれでよいのかと自分に問い直す冷静さを持て.「石橋をたたいて渡る」慎重さを持て.
  38. 現状に妥協せず未来に向かって精進せよ.また,生きる喜びに感謝し現在をエンジョイせよ.
  39. 人との出会いを大切にせよ.幅広くおつき合いのできる人間になれ.多くの人から,多くのことを学べ.偏見を持つな.
  40. 人の話はよく聞け.また自分の意見は,人前で堂々と言える人間になれ.人のあげあしばかりとる,肝っ玉の小さい人間になるな.
  41. 人は日々研鑽を積み,自己実現していくものだ.人それぞれの道で,夢大きく,美しい花を咲かせよ.そのためには,一日一日を感謝して,充実して生きることだ.
  42. 自分は何を欲しているか,何をしたいか,何ができるか,何をせねばならぬか,何で貢献できるか,時々自分に問え.そして,自分自身でやらねばならぬことと,他人に任せることを区別せよ.全部自分のこととして背負うと身が持たぬ.
  43. 自分の欲するところ,他人に施せ.これを「積善の余慶(しゃくぜんのよけい)」という.つまり,人のために善を積み重ねると,あとに,ありあまる幸せが自分に訪れるとのこと.
  44. 「トータルサムイコールゼロ(Total sum equal zero)」人間の幸福,不幸福の差し引きは,一生を通して見れば,人皆同じという事.幸福なときは,他人のために一層仕事をし,苦労せよ.そうすれば幸福は益々増える.
  45. 「実れば実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」出世すればするほど,腰を低くし謙虚になれ.偉そうにするだけでは裸の王様になる.頭を下げる時には,丁寧に,そして,ためらわずに行え.人の為ではない,自分の為に下げるのだ.そう思えば腹も立たぬ.
  46. 己に対して,プライド(誇り)を持て.そして,自分の真の望みは必ず達成できると思い自信を持って生きよ.それには,日頃から,人に言わない努力を積んでおけ.よく考えてもわからぬこと,知らぬことは,見栄をはらず他人に素直に聞け.「聞くは一時の恥.聞かざるは末代の恥」.プライドの意味をはき違えるな.
  47. 時には失敗もある.謙虚な反省のあとは,いじけず前向きの姿勢で進め.若いときの苦労,失敗の経験は,人間に味わいや,優しさを与えてくれる.成功話ばっかり聞かされたら,たいていはいやになるだろう.
  48. 「輪廻転生」歴史は繰り返す.先人の教訓から学ぼう.先輩から学び,後輩に伝えよう.
  49. 「はたけば,ほこりが出るのが人間」.あまり,他人や自己の細かい欠点にばかり神経質になりすぎず,寛大になり,長所をみて伸び伸び生きよう.
  50. 人という字が表すように,「人の世は持ちつ持たれつ支え合っている」.人は皆それぞれ良いところがあり,また助け合い成り立っている.世の中に感謝の念を持ち,それを忘れるな.合掌.


こんなことを全て実行している人は人間ではない?
また,おもしろくない?

確かにそうかもしれません.この50箇条は,私自身が,日頃感じたり,反省したり,こうあればなと思った事柄を今回列挙したものです. 決して実行できているわけではありません.皆さんにも,何かの参考になればと配布することにしました.暇なとき,読みながら, これら一つ一つに思いを巡らせて下さい.自分に照らし合わせてみて下さい.そして,これらの条項を「編み目」のようにリンクさせ, 人格形成のためのネットワークシステムとして捉えてみて下さい.独自のシステムを各自構築し,必要なときに,各種条項を反省,検討し, コントロールして下さい.それこそ,自分のスタイルに合わせて,オリジナルなものを築き上げて下さい.システム制御の奥深さはここにあります. システム制御は,学問や技術に対してだけでなく,人間の生理学や人格形成に対しても関連する学問です.

もし,諸君の素晴らしい将来のための参考,あるいは,悩んだときに,読み返してくれれば,うれしく思います. 50箇条の内,1つでも気にいったものを見つけ,覚えてくれれば幸いです.そして,これは,私自身の自戒の50箇条でもあります.

「学問の何箇条?」.これはまたいずれ.というより各自でお考え下さい.


平成9年11月11日
寺嶋 一彦